狭心症・心筋梗塞
狭心症・心筋梗塞とは
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っていますが、その心臓自身もまた血液から酸素や栄養を受け取る必要があります。これを担っているのが「冠動脈(かんどうみゃく)」と呼ばれる血管で、心臓の表面を取り囲むように主に3本走っています。この冠動脈が動脈硬化などにより狭く(狭窄)なったり、完全に詰まったりすることで発症する疾患が、狭心症や心筋梗塞です。
狭心症では、動脈の内腔が狭くなり、一時的に心筋(心臓の筋肉)への酸素供給が不足することで胸の痛みや圧迫感が生じます。多くは運動やストレス時など心臓に負担がかかったときに症状が現れ、安静にすると数分で改善するのが特徴です。一方、心筋梗塞は冠動脈が完全に詰まり、心筋の一部が壊死してしまう状態であり、より強く・長く続く激しい胸の痛みや、冷や汗、吐き気などの重い症状を伴うことがあります。
狭心症・心筋梗塞の背景には、高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症など)、糖尿病といった生活習慣病や、喫煙、肥満などによる動脈硬化の進行があります。これらのリスク因子が重なることで、冠動脈の内腔が徐々に狭くなり、最終的に閉塞に至る場合があります。 さらに近年の研究では、心筋梗塞の半分以上は、血管が高度に狭くなった場所からではなく、まだ50%以下の軽度な狭窄しかない「不安定なプラーク(脂肪の塊)」が突然破裂(破綻)し、そこに血栓(血の塊)ができて血管を急激に塞いでしまうことで発症することがわかっています。そのため、症状がないうちから日々の生活習慣を整え、リスク因子をしっかり管理することが極めて重要です。
検査・治療について
狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、正確な診断のためには冠動脈の状態を詳しく調べる必要があります。通常は、まず心電図や心エコー検査(心臓超音波検査)を行い、必要に応じて運動負荷心電図(トレッドミルやエルゴメーター)や心筋シンチグラムなどの、患者さんの体への負担が少ない(非侵襲的)検査を実施します。その結果により、さらに詳しい冠動脈CT検査や心臓カテーテル検査(冠動脈造影検査)へと進むことになります。
特に心筋梗塞の場合、発症から早期に血栓を取り除き血流を再開させることが生命予後(長生きできるかどうか)の改善に直結するため、カテーテル治療などによる迅速な対応が重要です。当院では必要に応じて高次医療機関への紹介も含め、緊急対応体制を整えております。
また、過去にカテーテル治療や冠動脈バイパス術を受けた患者様も、再発を防ぐための継続的なフォローアップが重要となります。近年、心筋梗塞後の再発予防(二次予防)においては、血液をサラサラにするお薬(抗血小板薬)やコレステロールを下げるお薬(スタチン)などを自己判断で中断せずにしっかり飲み続けること(服薬アドヒアランスの維持)が、治療効果を大きく高め、将来の心血管イベントを予防することが改めて証明されています。当院でも、定期的な検査とともに、適切なお薬の管理や生活習慣のアドバイスを継続して行っていきます。
